◆『台北カフェ・ストーリー』中孝介さんトークショー・レポート

価値観の物差しって人それぞれなんですね

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(取材日:2012年4月6日 シネマート六本木にて/取材・文・写真:Qnico MIC INAMI)

 劇場での一般公開を目前に控えた4月6日、シネマート六本木にて中孝介さんを迎えての特別先行上映とトークショーが開催された。中さんは、デビュー直後からアジア向けアルバムを発表したり、2008年に台湾で社会現象を巻き起こした映画『海角七号 君想う、国境の南』に出演したり、台湾にとって馴染み深い日本人アーチストのひとりである。『台北カフェ・ストーリー』には、ヒロイン姉妹のカフェにやって来た謎の日本人客役で特別出演をしている。

「『海角七号』では、僕本人の役だったんですけど、この『海角七号』が台湾では知らない人はいないというほど大ヒットし、撮影地のケンティンがものすごい観光地になったんですよ。それを受けて、台北市が映画を作りたいということで、ホウ・シャオシェン(本作では製作総指揮)とシアオ・ヤーチュアン監督が組むことになりました。僕は、その記者会見に呼んでいただき、その席でオファーを受けたんです。そんな形でオファーをもらうとは思ってなくて……。本人役ではなかったんですけど『歌を歌ってください』と言われてお受けしました」

 どういうシチュエーションで歌うかは、既に報道されてもいるが、ここではこれから鑑賞する人のために敢えて伏せておこう。ちなみに、劇中で歌うのは文部省唱歌の「ふるさと」で、中さん自身の選曲だ。

「監督からは日本を思わせる曲がいいというリクエストがあって。この曲は、日本を代表する童謡だと思いますね」

 この曲は、アジア地区でのライブの際にも日本語で歌うことがあるとのこと。歌い慣れた曲でもあり、撮影は一発OKだったという。

「撮影は、ほんとうに見ての通りのほんわかとした雰囲気で、あっという間に終わっちゃったんです。スケジュールでは2日間とってあったけど、1日で終わっちゃったので、予備日に北投温泉に行って来ました」

 と、思わぬボーナスタイムまでついた。  中さんにとって、この映画で印象的だったシーンはと聞くと、

「物々交換をしていくなかで、姉妹の価値観がどんどん変わっていく様がすごく印象に残りました。それが(監督が)いちばん伝えたいことでもあるので」

 物々交換は、また、コミュニケーションの一手段でもある。

「いろいろな人が店に訪れるけど、ただ自分が欲しいだけでは交換できなくて、自分が大切にしているものを相手も気に入ってくれなければ交換できない。自分の思いが届かないこともある。価値観の物差しって本当に人それぞれなんですね」

 と語る中さんは、また、この映画の中のこんな部分にも惹かれるとか。それは……

「ところどころで台湾人(への実際のインタビューシーン)が出てきて、台北でどんなことを考えているか語るシーンがあり、そんなほっこりするシーンが他の映画にはない部分でいいですね」

 それこそ人それぞれの物差しを実感できる部分だ。
 姉妹役のふたり――グイ・ルンメイとリン・チェンシーについては

「僕は、グイ・ルンメイさんについては『藍色夏恋』を見ていて、まさか本人にお会いすることができるなんて思っていなかったのです。リン・チェンシーさんは、スクリーンの中とは全然違う子で、すごくシャイなんですよ。そこが美しさというか、可愛らしいところ。本当に女優さんなんですね。スイッチでパキッと変わるんです」と。

 といった撮影裏話の披露の後、会場からの質疑応答となった。会場からは、主に中さんから見た台湾に関する質問が多く飛び出した。

――台湾で好きな場所は?

「台北の街には近代的なところもあれば、昔懐かしい屋台の盛り上がりもあって、そういう両面性があるところが魅力的だなと思いました。それと、最近、初めて九份(侯孝賢『悲情城市』の舞台、宮崎駿『千と千尋の神隠し』のモデルになった地)に行って来て、すごく素敵な場所だなと思いました。 (撮影の予備日に行った北投温泉は)日本統治時代からの温泉街なので、いまだに平仮名の説明書きが残っていて、日本の歴史もすごく感じさせる場所でしたね」

――撮影した頃と今の台北に違いは感じる?

「撮影をしたのは2009年の夏でした。あれから3年が経とうとしてますけど、台湾は驚くほどの変化はないようです」

――日本人と台湾人で違いを感じる部分は?

「とにかく台湾に行くと、いつもこんなに日本のことを好きでいてくれる所はないなと思うんです。違いっていうと、中華圏の人たちって感情がストレートなので、ライブのときの感覚が日本でライブをやる感覚と違うんですよね。黄色い声援がキャーッみたいなところがあって、それはすごく嬉しいですね。ちょっとね、自分がアイドル気分に浸ったりね(笑)。歓声でバンドの音楽が聞こえないときがあるんですよ。ストレートな感情を感じましたね。そこが日本と違うところですね」

――ステージで歌うときと、映画の中で歌うときとの違いは?

「この映画では淡々と歌うということに意識を持っていきました。ライブをやるときは、アクションを起こして歌を伝えるところもあるので、そこが違いですね」

――海外での活動に関して

「台湾や中国など海外で歌うようになるとは最初は思ってもいなかったけど、実際に海外で歌ってみると(そこの人たちに)すごく興味をもっていただけた。僕が歌ってるのは日本語の歌ばかりなのに、聞いてくれるファンがいる。ノスタルジーなどを感じてくれるのです。自分の活動を通して、音楽は国境を超えるんだなと強く感じますね」

 トークの進行役は、配給会社ユナイテッド・ピープルの関根氏。社会派ドキュメンタリーを配給してきた会社だが、昨年2011年の東日本大震災の折、プサン国際映画祭で見たこの映画のことを思い出し、「震災で多くのものを失った私たちに、大切なものを思い出させてくれる映画だと思って」日本公開に持ち込んだとの話があった。

『台北カフェ・ストーリー』は、2012年4月14日(土)シネマート六本木にてコードショー

オフィシャルサイト http://www.taipeicafe.net/

原題:第三十六個故事 2010年・台湾映画/82分
監督:シアオ・ヤーチュアン(蕭雅全)
出演:グイ・ルンメイ(桂綸鎂)、リン・チェンシー(林辰唏)、チャン・ハン(張翰)、中孝介(特別出演)
音楽:サマー・レイ(雷光夏)第47回金馬奬・最優秀オリジナル歌曲賞「第36個故事」

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